Sacrifice

 

 
Sacrifice,
Sacrifice,ah...
Sacrifice,
Sacrifice,ah...
 
無邪気な
笑顔が
愛らしい妹は
神に
愛されたから
生まれつき
幸福だった
 
一人では何も
出来ない
可愛い天使
誰からも
愛される
彼女が
妬ましかった
 
器量の悪い
私を
憐れみないでよ…
「--
惨めな思いにさせる
妹(あのこ)なんて
死んじゃえば
良いのに…」
 
Sacrifice,
Sacrifice,ah...
Sacrifice,
Sacrifice,ah...
 
あくる日
妹は
高熱を出して
寝込んだ
ごめんなさい
神様
あの願いは
嘘なんです
 
懺悔が
届いたのか
やがて熱は下がった
けれど
今度は
母が
病の淵に
倒れた
 
母が
今際の時に
遺した言葉は…
「--
妹(あのこ)は
他人(ひと)とは
違うから
お姉ちゃん
(あなた)が
助けてあげてね…」
 
Sacrifice,
Sacrifice,ah...
Sacrifice,
Sacrifice,ah...
 
母が
亡くなって
暮らしにも
変化が訪れ
生きる為に
私は
朝な夕な
働いた
 
村の男達は
優しくして
くれたけど
村の女達は
次第に
冷たくなっていった
 
貧しい暮らし
だったけど
温もりがあった…
「--
肩を寄せ合い
生きてた
それなりに
幸福だった…」
 
それなのに
どうして…
こんな
残酷な仕打ちを…
教えて神様!
妹(あのこ)が
授かった子は
主が
遣わし給うた
神の御子では
ないのでしょうか?
 
 
(--妹が
子供を
身篭っていることが
発覚した夜
村の男達は
互いに
顔を見合わせ
口をつぐんだ
重い静寂を
引き裂いたのは
耳を疑う様な
派手な打音
仕立屋の
若女将が
妹の頬を
張り飛ばした音
 
『泥棒猫…』
『かわいそうな
子だと…』
『世話を焼いて…』
『恩知らず…』
 
--
断片的な記憶…
断罪的な罵声…
嗚呼…
この女(ひと)は
何を喚いているんだろう?
気持ち悪い
ぐらりと
世界が揺れ
私は
弾け飛ぶように
若女将に
掴み掛かっていた…
 
緋く染まった視界
苦い土と
錆びの味
頭上を
飛び交う口論
神父様の怒声
 
『純潔を…』
『悪魔の契り…』
『災いの種が…』
『マリア様の…』
『誰もガブリエルを…』
『火炙りだ…』

「ああ、悪魔とは
お前たちのことだ!」
 
--そして…
妹は最期に
「ぁりがとう」
と言った…)
 
心無い言葉
心無い仕打ちが
どれ程
あの娘を
傷付けただろう
それでも
全てを…
優しい娘だから…
全てを
赦すのでしょうね…
 
(でも、
私は絶対に
赦さないからね……! )
 
 
(「この世は
所詮
楽園の
代用品でしか
ないのなら
罪深き者は
すべて
等しく灰に
かえるが良い!」
 
--裸足の娘
凍りつくような
微笑みを浮かべ
揺らめく焔
その闇の向こうに
『仮面の男』を
見ていた--)